判旨
「或る物件につき、なんら権利を有しない者が、これを自己の権利に属するものとして処分した場合において真実の権利者が後日これを追認したときは、無権代理行為の追認に関する民法一一六条の類推適用により、処分の時に遡つて効力を生ずるものと解するのを相当とする(大審院昭和一〇年(オ)第六三七号同年九月一〇日云渡判決、民集一四巻一七一七頁参照)。」
よって、本判決より以下の結論を導くことができる。
①Aが権限なく他人(B)の物をその代理人としてCに売却した場合、本人(B)がこれを追認した場合
→無権代理人の行為を本人が後から追認をした場合に該当するから、無権代理行為は遡及的に有効となる(民法116条本文)。
=AーC間に有効な契約関係が成立
②Aが権限なく他人(B)の物を本人のものとしてCに売却した場合、本人(B)がこれを追認した場合
→民法116条が直接適用される場面ではないが、本判決より116条が類推適用されるが、ここでは権利者の承認による処分が遡及的に有効となるにとどまる。
=BーC間に有効な契約関係が成立(この段階は、追認の有無は問題とならない。)、遡及的に有効となる。